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リアル「銀の匙」!?獣医学部生の大学生活はこんな感じ

こんばんは、明石照秋です。

 

さっそくですが、自分は獣医師です。このブログのタイトルにもそう書いてありますね。ただ、臨床獣医師ではありません。※臨床獣医師とは、いわゆる動物病院に勤め、主にペットの治療分野で活躍している獣医師のことです。いわゆる「動物のお医者さん」ですね。

 

獣医師と一言にいっても、様々な職業があるんですよ。この話をするとみんな驚くんですけどね。

 

獣医師になるためには、当然獣医学部を卒業して、その後国家試験に合格しなければいけません。獣医学部は6年制で、また獣医学部は全国に十数箇所しかないので、新しい獣医師は1年に1000人程度しか生まれません。

 

獣医師です、と自己紹介すると、「獣医学部ってやっぱりど田舎にあるの?」とか、「銀の匙みたいな大学生活だったの?」ってよく聞かれます。

 

確かに身近に獣医師さんってあまりいませんし、そんな話を聞く機会もあまりないでしょうから、人気漫画の「動物のお医者さん」とか「銀の匙」で出てくる生活を送っていたと思われがちですね。

 

もちろん出身大学によってどんな大学生活を送っていたかは全く異なります。自分の大学生活は上の漫画に出てくる生活に近からず遠からずでした。

 

そこで、今回は獣医学部の大学生活を紹介しようと思います。これを読んで、「自分もこんな生活を送ってみたい!」とか、「こんな生活絶対無理だわ・・・」など、いろんな感想を持ってもらえたら嬉しいです。

 

また、これから獣医学部に入ろうと思っている人には、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。

 

獣医学部のある大学は国公立、私立合わせて16大学

 

現在、日本には獣医学部のある大学は全部で16大学しかありません。また、募集人数も国公立で40人程度、私立で100人強と、入学するにはなかなかの狭き門となっています。

 

そして、入学する大学によって大学生活は大きく違ってきます。例えば、東京農工大学や大阪府立大学なら、都会に近い大学ということもあって、華やかな大学生活を送れるでしょう。

 

自分が入学したのは北海道にある大学でした。一応具体的な大学名は伏せますが、関係者ならすぐに分かると思います。

 

そして、いわゆる「銀の匙」のような大学生活を送れるのは、やっぱり田舎にある大学です。自分の大学はそれはもうど田舎にあったので、まさに自然と過ごす日々でした。

 

以下から時系列に沿って、自分の大学生活を振り返ってみます。

 

大学1年生

寮に入って大学生活がスタート

 

大学生活といえば、やっぱり一人暮らし!友達を呼んでうぇいうぇいするんだー!なんて頭お花畑みたいなことを考えていましたが、親の「うちはお金ないから寮だよ」の一言でそんな妄想は砕け散りました。

 

そして、いざ寮に到着してみると、そこはとんでもないところでした。「廃病院・・・?」最初に浮かんだイメージがこれです。汚すぎて変な笑いが出ました。

 

そんな凄まじい環境の中で、自分の大学生活はスタートしました。

 

毎朝、毎夕の子牛の世話でへとへと

 

うちの大学では、1年時のある時期に子牛の世話をする実習があります。生まれたての子牛を学部の1年生で代わる代わる面倒を見るのですね。

 

文字だけで見ると、「うおお!まさに銀の匙みたいな生活じゃん!」みたいに感じますが、そんな生ぬるいものではありません。

 

子牛の体調が悪化すれば、原因などを考えるためにミーティングをしなければいけないし、なにかミスをすれば担当の先生に鬼の形相で怒られます。

 

また、普段の授業にその世話が組み込まれるので、一時期だけとはいえかなり忙しいです。子牛の世話をするなんて楽しそう!と思うかもしれませんが、自分にとってはかなりストレスフルな時期でした。朝の7時に牧場集合とかね・・・。眠いよ。

 

なにより、牧場ってくっさいんですよ。酸っぱい感じの今までに嗅いだことのない臭いがするし、容赦なく牛のうんこは飛んでくるし。

 

1分居ただけで臭いが体に染み付きます。そして、シャワーを浴びるまで全く取れません。

 

この瞬間、「あ、自分には大動物診療は無理だな」って思いました。

 

1年時は獣医学に関する講義はなし

 

うちの大学は1年時には獣医学に関する講義はありませんでした。他の大学と同じように数学とか英語とかやってましたね。

 

この頃は「なんだ、大学の授業なんて楽勝じゃん」って思ってました。

 

しかし、2年時でそれが一変します。

 

大学2~4年生

いよいよ獣医学に関する講義がスタート

 

うちの大学では2年生から獣医学に関する講義が始まります。当然、獣医師になるために獣医学部に入ったのですから、とても楽しみに授業が始まるのを待っていました。

 

ところがいざ始まってみると、その覚えることの多さに唖然としました。2年時での講義は「解剖学」や「生理学」などだったんですが、それぞれの教科書が辞書ぐらいの厚さがありました。さらに、字の大きさもしっかり辞書準拠でした。

 

そして、びっくりするくらいのテスト範囲の広さ。今回のテスト範囲はこれ一冊ねー、みたいなこともよくありました。

 

暗記はそこそこ得意なほうなんですが、解剖学とかめちゃくちゃややこしいんですよ。先生は筋肉の名前と骨の名前全部覚えてきてねー、なんて言うんですが、無茶言うなと。

 

テストの難易度も容赦なしです。そこ聞く!?みたいな問題が大量にありました。当然テスト結果は追試の嵐。クラスの半分が留年の危機みたいになってました。

 

午前は座学、午後は実習

 

基本的に午前は座学をやり、午後は実習を行います。実習内容も多岐に渡り、試験管内で様々な化学反応を見る実験や、マウスを使った薬理実習、実際に犬や牛を使った解剖実習もありました。

 

理系大学出身の人ならよく知ってると思いますが、実験系の実習って終わる時間決まってないんですよね。基本的に実験が終わらないと帰れません。

 

だいたいの実験はチームを組んで行うんですが、班員が全員パッパラパーだとそれはもう大変です。

 

「これどうやるの?」「知らん」「先生なんて言ってたっけ?」「知らん」「計算合わないんだけど」「知らん」

 

みんなはもう帰ってるのに、まだ実験の初期段階なんてこともよくありました。ちなみに自分は完全にパッパラパー組でした。ごめんね。

 

解剖実習なんて日がまたいだこともあります。泣きたくなりました。

 

それで家に帰ったらその実習のレポート作成と、次の追試テスト勉強。いやー、忙しかった。

 

理系大学は忙しいとよく言いますが、まさにその通りでした。

 

牛と格闘する

 

北海道といえば牧場、牧場といえば北海道ということで、牛とはもう日常的に触れ合っていました。搾乳なんてお手のものです。・・・ほとんど機械がやってくれるのですが。

 

そして、度々発生する牛の脱走事件。まあ、脱走といってもそれほど大変なものではなく、牧場内で牛のリード的なものを離してしまったため、牛が縦横無尽に走っている程度のものです。

 

一時的とはいえ自由を手に入れた興奮から、牛はもう大はしゃぎです。600kg近い体重で全力で走り回っていることもあります。

 

それをなんとか捕まえて、牛舎に入れてやらなければいけません。が、そんな体重のものが全力疾走でこちらに走ってくるのはかなりの恐怖です。

 

轢かれたら最悪死にかねません。そんな命賭けの毎日を送っていました。

 

大学4~5年生

研究室配属が決まる

 

この頃には配属される研究室も決まり、いよいよ大学生といった生活になっていきます。

 

自分の配属された研究室はいわゆる基礎系の研究室で、マウスとかを使っての実験がメインでした。

 

どこの大学もそうですが、研究室によって忙しさが全然違います。病院系の研究室に配属された人たちは死にそうになってました。

 

うちは比較的緩めの研究室だったので、そこそこ実験をし、適当に雑用をしてさよならーって感じでした。ゼミ発表前は修羅場でしたけどね。

 

外科実習や内科実習が始まる

 

獣医学部といえば、1年から手術実習あるんでしょー?みたいによく言われますが、実際に生きた動物を使って手術実習をするのは4年生からです。

 

牛や馬、犬といろんな動物で手術実習を行います。麻酔から執刀、麻酔解除まで全て学生だけで行うので、緊張感が凄かったです。

 

自分がミスをすれば、この動物は死んでしまうんだ、と思うと自然と責任感も湧いてきましたね。

 

内科実習では採血やレントゲンなどを行いました。「動物のお医者さん」で学生同士が採血の練習をするシーンがあったと思うんですが、実習内容にはなくて一安心しました。あんなん絶対嫌ですよ!みんな手ぷるぷる震えてるし。

 

この頃になると、生活が大学中心になってきます。3年次までは家にいる時間もそこそこありましたが、この時期は毎日研究室に11時位までは居ましたね。

 

初めての直腸検査の衝撃

 

牛といえば直腸検査、直腸検査といえば牛と言われるように(言われない)、ついに直腸検査の実習が始まります。

 

「今日の実習休もうかな・・・」と最後まで覚悟が決まらない者、「私、直腸検査をするのが夢だったんだよねー!」という頭のネジがおかしい猛者まで学生の気持ちも様々です。

 

直腸検査を詳しく描写するとなんだかアレなので、簡単に話しますが、みんな突っ込んで一言目には「あったけぇ・・・」って言います。牛は体温が人に比べて高いので、もの凄くあったかいんですよ。もちろんうんこもね。

 

で、牛もお尻に手を突っ込まれると刺激を感じるのか、すぐにうんこをしようとします。

 

そういうときは、腕を突っ込んだまま横によけてうんこをかわすのですが、まれにお腹の調子が悪い牛がいます。牛もお腹の調子が悪いと、人と同じように下痢便が出ます。

 

するとどうなるか、腕によって出口が半分以上封鎖されているので、まるで蛇口を抑えたような勢いでうんこが飛び散ります。

 

この現象を自分たちは「うんこスプラッシュ」と呼んでいましたが、食らった側はそれはもう大変です。顔面うんこまみれになります。

 

最悪、口の中にうんこが入ったりします。このように直腸検査は命を賭けた牛との駆け引きがあるのですよ。

 

ちなみに先生たちはもうそんなこと気にしません。長年うんこを浴びていると、うんこへの嫌悪感が麻痺するようです。

 

大学6年生

卒論発表で死にかける

 

6年生には大きなイベントが2つあります。卒論発表と国家試験です。

 

うちの大学は4年次から研究室配属だったので、単純計算で研究を行える時間は3年弱あります。

 

そうすると、教授たちも「3年も研究期間があったから、それなりの成果は出てるよねぇ?」と暗に脅してきます。

 

が、この時点ではほとんどの学生がたいした実験結果なんて出ていません。そもそも座学と実習で忙しいのに、そんな実験にかける時間なんてありません。遊んでばっかりだったせいもあるけどね・・・。

 

もうここからはまさに修羅場です。特に卒論発表1ヶ月前にもなると、2時3時まで実験するのは当たり前、なんなら徹夜も厭わずという感じです。

 

さらに、その実験結果をまとめなくてはいけません。そして、それを教授に持っていくとほとんどの場合、無慈悲な「やり直し」が出ます。ひどい場合は実験手順から組み直しです。

 

この時期になると、「もうやだぁ」「早く1ヶ月後になってくれ」「俺、卒論発表が終わったら彼女と旅行に行くんだ・・・」など現実逃避する者も出てきて、まさに死屍累々です。

 

とはいえ、何事もいずれは終わりがくるもの。論文提出もなんとか終えて、普通の学部なら「やったー!自由だー!」となるのですが、獣医学部ではそうはいきません。

 

最後にして最大のイベント、「国家試験」が待ち受けています。

 

国家試験とかいうラスボス

 

医師や薬剤師でもそうですが、この国家試験に受からないと免許を得ることができません。さらに、その免許が必要になる職業に内定していた場合、国家試験に落ちれば内定も取り消しということになります。

 

そして、その試験範囲は脅威の「6年間で学んだ内容全て」。この範囲を卒論発表後の2、3ヶ月で再度勉強し、本番で6割以上正答しなければいけません。

 

それはもうみんな死にものぐるいです。俺の戦いは卒論発表で終わったんだ・・・、と最初から諦めている者も数名いましたが、ほとんどの人が朝から晩まで勉強に明け暮れます。人生で一番勉強する期間とも言われているくらいです。

 

普段からしっかり勉強していればこんな焦る必要はないのですが、まあ大学生ですからねぇ・・・?そこはお察しです。その分、ここで一気に取り返すわけです。

 

そして晴れて国家試験に合格すればあとは卒業を待つのみ。これで獣医学生としての6年間が終わります。

 

番外編

 

大学生はもちろん勉強だけをしているわけではありません。大学生活は人生の夏休みとも言われているように、自分も目一杯遊びました。

 

獣医学部は1学年に40人程度しかいないということもあり、クラス全体で凄く仲がいいことが多いです。

 

誰かの家に集まって朝まで飲んだりと、大学生っぽいこともたくさんやりました。

 

また、北海道は広くていろいろな場所がありますから、遊びにいくには最適です。スキーに行ったり、牧場を回ってソフトクリームの食べ比べをしたりと、とても楽しかったです。

 

自然に囲まれた大学生活を送りたいなら、ぜひ北海道に来ることをおすすめしますよ!

 

終わりに

 

書いているうちにかなりの長文になってしまいました。これでもかなり書く内容を絞ったつもりなんですけどね。本当はもっと書きたいことがあります。

 

獣医学部生の大学生活はイメージできたでしょうか?もちろんこれはうちの大学に限った話かもしれませんが、ほとんど毎日動物に囲まれて生活していたような気がします。

 

獣医師はその仕事内容のわりに給料が低いなど、大変なこともたくさんありますが、動物が好きな人や、動物を通して人の健康を守りたい人にはおすすめの職業です。

 

自分は現在獣医師とはほとんど関係のない仕事に携わっていますが、獣医学部を卒業してよかったなと心から感じています。

 

一人でも多くの高い志のある若者が獣医学部に入り、立派な獣医師として活躍できるよう祈っています。

 

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